[2022-06-04追記]フライトクルーズさんが同様の症状に遭遇し、具体的な原因と修理方法をYouTubeで紹介していました。この記事を読まずにこのYouTubeを見たほうが早いです。
総選挙の記事、書きたいんですが忙しいのとなかなか書ききるまでには気合が必要でモチベーションが上がらない(正直)ので、気分転換にフライトスティックを分解した話題です。
Microsoft Flight Simulator(2020)を遊ぶためにTCA Sidestick Airbus editionというフライトスティックを購入して使っていました。
使ってみて感じたのですが、1万円代で買えるフライトスティックとしてはかなり優秀で、できるだけコンパクトにまとめて安価に航空機体験を得たいという方にはとても良いと思います。
ただ、半年ほど使っていたところ、ひねりラダーの部分の入力がおかしくなってしまいました。調べたところ、内部のセンサのズレが原因らしいので分解し、再調整したら解消しました。その過程を同じ問題を抱えた方々のためにメモしておきます。
ラダー入力がおかしくなった
MSFS、Arma3、Elite: Dangerousでフライトスティックを使用しているのですが、ラダー入力が意図せず突然左(反時計回り)に入る症状が出てきました。
以下の動画を見るとわかるのですが、35:50~の着陸時に反時計回りに一瞬回転するのを繰り返しています。
ここでも、タキシング中にガタッガタッと左に逸れるので右にカウンターステアを入れています。
最初はフライトシム上の仕様で、路面の凸凹で逸れてるのかな?と思っていたのですが、画面上のラダーペダルが静止状態でもガタガタ動いていることがあったのでフライトスティックの誤入力を疑ってみたところ、やはり意図せず左に全力でラダーが入ってることが……。
Windowsの設定でスティックの入力を補正したり、ゲームの設定で感度を鈍くしたりしたのですが、「ひねりラダーが一瞬だけ最大入力される」ので感度をいくら鈍くしてもダメなんですよね。
ツイッターで助けを求めたところ、どうやら元になっているT16000Mで同様の症状が頻出するとのこと
Thrustmaster Sidestick Airbus Edition使ってんだけど、ひねりラダーが最近反時計回りに小さく誤入力入ることがある。
— 大槻ずんこP ミリ7thR day2現地 (@ohtsuki_zunko) 2021年3月1日
これってどうやったら解消できるんだろう?
昨日の夜coopでもちょくちょく発生してた pic.twitter.com/3hhMjmo71O
https://t.co/EKqpKRcYXA
— CMDR hann482 (@hann482) 2021年3月1日
これの元になったT16000M(の更に元のT16000無印)の情報ですが、ここの下に詳細貼ってくれた方がいます。私はなんか組み直したらしばらく直るけどすぐ症状戻ってきちゃう…って感じだったので、しばらくいじり回してからTFRP買っちゃいましたが…。
調べてみたところ、
- TCA Sidestick Airbus editionとT16000Mは、ラダー入力のセンサが軸部分に乗っている単純な構造
- 操作中、グリス切れなど何らかの理由でその軸部分のセンサがずれることがある
- 軸部分を分解し、再度軸部分にグリスを塗ってあげれば修正される
分解してみよう
ということで、分解してグリスを塗ってあげることにしました。分解の過程で壊しちゃうんじゃ?と思って不安でしたがなんてことは無く、ドライバー1本で分解できる単純な構造でした。
というわけでここにスティックの現物を用意しました。
左側に6箇所ネジ穴があるのでここをプラスドライバーで外していきます。ネジ山は一般的なネジと比べて意外と柔らかくナメやすい気がするので注意。
ここまでは一緒ですがT16000Mと違ってボタン部分のカスタマイズができるので、ネジ数が少し多いのと、ボタン部分のネジを外すと反対側のボタンも外れるので無くさないよう注意。まあ分かると思いますが。
左側のネジを全て外した後に「あれ?何故かカバーが外れないぞ?」と少し詰まったのですが、T16000Mには無い構造として、右側のボタンを外したところにネジが2つついています。ここを外せば分解できるように。
ちなみにここも何かして外してあげないとダメなのかな?と不安になりながら分解してましたが、ハットスイッチ部分は別パーツとして独立しているので今回は触る必要はありません。
さあ分解できました。開けると中身が想像以上に単純な構造をしていることがわかります。単純であるということは何かあっても自力で直しやすいということ。いいことです。
ちなみにここでわかることは、ひねりラダー入力をロックできるボタン(青い部分)が回路的に切り替えをしているのではなく、単に軸が動かないように物理的にロックしているだけであるという点です。
なのでラダーをロックしてもセンサがグリス切れしたりズレてる限りは誤入力は発生しちゃうんですね〜。
問題の箇所はここです。この四角い、即席味噌汁の平べったいお豆腐みたいな形のパーツがひねりセンサです。この下の部分が金属棒がバネとして、その上でひねりを受けて回転することで入力が伝わります。
この部分が何らかの理由でズレることで誤入力が発生するようです。(はっきりした原因はよくわからないですが、おそらくグリス切れか負荷による物なので一旦分解してグリス塗りして組み立てればOK?)
使用するグリスはこちら。一般的なグリスだと樹脂を傷めるらしいので信頼と実績のタミヤのミニ四駆のやつを使ってみることにしました。アキバのヨドバシで売ってました。そんなに高くないよ。(多分大丈夫だろう、という考えでやってるので真似することによる破損や損害があっても責任は取れません、自己責任で!)
パーツをそっと一旦外して、グリスを塗り塗りして……(ついでに下の部分のグリスも切れてたので注入)
あとはまた同じように組み立ててネジ止めすれば完了。
ラダー(Z軸,飛行機の車輪とか垂直尾翼を操作する)が時々左に誤入力入るからスティック分解してグリス塗りまくったら入力がキレイになった。最高。 pic.twitter.com/ks493SApo5
— 大槻ずんこP ミリ7thR day2現地 (@ohtsuki_zunko) 2021年4月24日
前はラダーがガタガタ動いてたのにめっちゃスムーズ!!!!!!!!!!!!!!!! pic.twitter.com/Kud4hzPRPV
— 大槻ずんこP ミリ7thR day2現地 (@ohtsuki_zunko) 2021年4月24日
これまでラダーのガタつきに悩まされてたのが嘘のよう、入力が機敏でスムーズになりました。
というわけで、同様の症状にお悩みの方は是非ドライバーとグリスを用意して試してみてください。でも自己責任で!
にしてもTCA Sidestick Airbus edition、安価で見た目も安っぽく無くとても良いスティックです。
A320のスティックをモチーフにしたシンプルで持ちやすいデザインも、ゲーミングデバイスっぽい見た目の機材が苦手な自分にはとても合ってます。
本格的に色々揃える気ではないけど、安価でコンパクトにフライトシムを楽しみたいという自分のような人間にはとても良いです。おすすめです。
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